妻中便り

高校2年生 歴史文化研究旅行 その2

旅行二日目、昨日とは打って変わって最高の晴天に恵まれ、今日は奈良での自主研修の日です。
奈良と京都で1日ずつ設けられた自主研修のうちの一つであり、
生徒がこの旅行の中で何より楽しみにしている行程です。
 
この自主研修は昨年度から準備をしていた関係で、
高1年時のクラスで班分けをしてあります。
そのため、今朝の朝食から生徒たちは昨年度のクラスに分かれて着席、
懐かしい顔ぶれとともに食事をとり、
これから始まる1日に向けて気持ちを高めます。
 
行き先は自由に決められるため、班によって様々です。
平城京へ行く班もあれば長谷寺方面、飛鳥方面へ行く班もあり、
吉野方面に行く班もありました。
ただ大多数が共通して選んだポイントはやはり奈良町、奈良公園といった奈良の中心部。
近鉄奈良駅で電車を下車して向かいます。
 
 
奈良公園といえば、何はなくともまずは鹿が有名ですね。
訪れた生徒たちも例外なく鹿たちに出迎えてもらいました。
 
 
公園の敷地内に限らず、歩道や、さらには車道まで、鹿たちはお構いなしに歩き回ります。
歩行者や車もそんな鹿の動きに配慮しながら進みます。
そこはまさに鹿の楽園、鹿中心の世界です。
生徒たちはその光景にショックを受け、そしてそれを面白がり、鹿せんべいを購入し、
それから奈良公園の鹿たちのまた別の側面を目にし、洗礼を受けることになります。
 
具体的に言うと、まずは普通に餌を与えます。
 
 
すぐに周囲の鹿が集まってきます。
 
 
鹿たちはせんべいを求めて四方八方から生徒たちにちょっかいを出してきます。
 
 
そして生徒たちはその状況に恐怖を感じ、逃げ回ります。
そんな光景が今日何度繰り広げられたことでしょう。
生徒ばかりではありません。教員もまた鹿たちの洗礼を受けました。
 
 
この奈良公園という特殊な空間と、そこでのみまかり通る特殊なルール、
そしてそれらが一体となって作り出す不思議な空気感。
これはこれで一つの文化の形であり、生徒たちにとっては全くの異文化です。
グローバル教育の一つの柱は、異文化理解。
異文化とは必ずしも外国文化を指すわけではありません。
たとえば関東出身者にとっての関西文化、そしてこの奈良公園文化、
自分たちにとっての「未知」を頭ごなしに否定することなく、まずは受け入れ、
「郷に入っては郷に従う」、即ちその場に溶け込むこと。
この奈良公園体験もまた、そのトレーニングの一環です。
 
またこの日、生徒は様々な形で奈良の人々のホスピタリティにも触れました。
困っていた時に親切に声をかけてもらった、助けてもらった、
電車の中で気さくに話しかけてもらった、歴史について教えてもらった、
ふと覗いた店の店員さんが外国人旅行客に対して英語で一生懸命対応していた、
そんな声がたくさん聞こえてきました。
奈良は言うまでもなく観光地ですが、
それはそこに住む人々皆のサポートあってこそのものであり、
街全体に充満するホスピタリティの精神、それこそが観光都市・奈良の本質であることを、
生徒たちは肌で感じたのではないでしょうか。
これはこれで一つの異文化体験であり、
また、東京オリンピックを控え、私たち皆が参考にしなければならない精神でもあります。
 
奈良公園以外にも、生徒たちは駅周辺の商店街を見て回ったり、奈良町へ行ったりと、
近代的な生活空間と歴史的建造物が隣り合わせになったこの街の不思議な空気感を満喫しました。
 
 
 
1日歩き回って疲れ果てながらも、表情には充実感を漂わせて、
生徒たちは全員無事ホテルに帰着しました。
お腹を空かせた生徒たちを待っていたのは、
この日の非日常体験をさらに加速させるような非日常的な食事、コース式の洋食ディナーでした。
 
まずは前菜から。
 
 
次にスープ、すべての料理は253名+教員分がその都度サーブされます。
その規模たるや著名人の結婚式も顔負けで、その光景は圧巻の一言です。
 

 
ライスとともに運ばれてきたのは、メインディッシュの肉料理。牛肉のステーキです。
 
 
その後やってきたサラダを食べ終えた頃、会場の一角から大きな歓声が上がりました。
そう、デザートがやってきたのです。
 
 
本日の夕食はこんな形でした。
奈良の空気を感じ、様々な形で異文化体験をし、さらにはテーブルマナーの学習までして、
この日は非常に盛りだくさんの1日でした。
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