SDGsについて

大妻中野での取り組み

本校では普段の授業や特別授業を通して、SDGsを知り、世界への関心や知識を深める授業や発表を行っています。
取り組みの事例をぜひご覧ください。

2021年度・中学1年生

 大妻中野中学校に入学した新入生たちにはまず、学祖大妻コタカ先生の言葉「恥を知れ」、建学の精神「学芸を修めて人類のために」をレクチャーします。初回の道徳授業として、学年主任からの動画をもとに、全クラスで「校訓と建学の精神とSDGs」についてディスカッション形式の授業を実施しました。
 何が恥であるかを理解し、そのような行動をしないようにするという「恥を知れ」は、まさに現代のSDGsで我々が意識すべきゴールとリンクします。環境破壊を止めよう、フードロスをなくそう、あらゆる不平等をなくそう、持続可能なコミュニティをつくろうなど、現代の我々が何を「恥」と考えるのかということを教えてくれます。そしてそのSDGs達成に向けて自分たちは何ができるのか、それを考えるのが大妻中野で過ごす6年間なのだということを意識することができたと思います。
 校訓「恥を知れ」の意味と、建学の精神「学芸を修めて人類のために」を、「なぜ自分は学ぶのか」ということとつなげて考え、さらに“現代版の『恥を知れ』”と解釈するSDGsとリンクさせて考え、発表を行いました。どのクラスも積極的に取り組んでくれて、とても活発に意見を出していた姿が印象的でした。
 4月からの流れを受け、文化祭では「自分にできるSDGsへの貢献プロジェクト」というテーマで個人研究の発表を行っています。


2021年度・中学2年生

 COVID-19の影響で中止となった宿泊行事期間を利用し、5月に学年全体で「SDGs校内講習会」を行いました。昨年度の文化祭では「個人発表」に向けてSDGsとはなにかを知り、最も興味を持った項目について各自が調べました。今回は改めて学習することで、全体的なつながりを意識してさらに理解を深めていくことが目標です。
 いくつかのグループに分かれた生徒たちは、「カードゲーム」を通して、世界が抱えている経済・社会・環境の諸問題をグループで協力して解決に結びつけようと、楽しみながら取り組むことができました。この経験を活かして、今年度の「クラス単位」での文化祭発表につなげます!


2021年度・中学3年生

 毎年、中学校3年生は平和学習で広島県を訪れ、平和の尊さを学びます。COVID-19の影響で今年度も広島を訪れることはできませんでしたが、全クラスで被爆体験者の方の講話をオンラインで聞きました。話を聞くまでの事前学習では、「やってはいけないとわかっていながらなぜ人間は戦争を繰り返すのか?」「戦争から受ける悲しみや切なさにはどのようなものがあるのだろうか?」「世の中から争いごとをなくすために人間はどのような考えを持つ必要があるのか?」といったことを全員で深く考え、言葉で表現しました。私たちは戦争経験者から、“記憶のたすき”を受け継ぐだけでなく、戦争を経験した人々の“遺志のたすき”も受け継いでいます。
 アフガニスタンの人々の混乱が連日報道されていますが、これを他人ごとととらえず、地球市民として「自分ごと」としてとらえていけるように、世界の平和と私たちの身近な生活がリンクしていることを、SDGsの16「平和と公正をすべての人に」を通じて学び、文化祭ではさらに視野を広げ、17のSDGsを念頭に「私たちができること」をクラスで提案していきます。

 

2021年度・高校1年生

 中学の時から様々な授業の中で、また、環境学習や平和学習の準備、文化祭などいろいろな場面でSDGsについて触れ、たくさんの学機会がありました。
 高校生になり、ここまで学んできたSDGsを「地球環境のため」「世界平和のため」というマクロな視点からだけでなく、「自分の将来のため」「大学選びのため」というミクロな視点にも関連付けることを目標として、SDGsをより身近なものとして学ぶ機会を作っています。
 グローバルリーダーズコースの生徒たちを対象としたGlobal Issue Studiesという授業では、SDGsについて「知る」だけではなく「意見を持つ」ことを心がけ、自分の考えを表現する練習を重ねています。
 高校2年生で予定されているGlobal Study Tour(修学旅行)の準備として台湾・マレーシア・京都について学ぶ際には、観光地としての知識を増やすことが目的ではなく、多様性についての理解を目的とした調べ学習をしています。また、社会人の方に講師として来ていただき、キャリア教育と関連付けた「SDGs×大学選び」講演を実施しました。こうした学びを通じて、「自分の周りの世界」について考えることが、「自分」について考えることになるということを身に着けていきます。


2021年度・高校2年生

 COVID-19の影響で海外への渡航が困難となり、Global Study Tour(修学旅行)の行先を急遽「沖縄」に変更しました。現地でのフィールドワークに向けて沖縄の基地問題や沖縄のSDGs・国際協力に関する取り組みについて事前学習を進めましたが、旅行自体も中止となってしまいました。それでも、沖縄の観光協会や海外青年協力協会(JOCA)の皆さんとリモートでつながり、事前学習を生かしたプログラムを実施することで、生徒たちはSDGsに関する理解を深めました。
 まず、米軍基地がある6つの自治体の観光協会の方々から、米軍基地との共存の歴史、周辺住民の皆さんの暮らしの現状やご意見などを、ダイレクトにお話して頂きました。生徒は6人で1グループを構成し、各人が6つのうち2つの観光協会の方々からのお話を伺います。すると、地域によって暮らしや本音が少しずつ異なることに気付き、さらに、それらをグループで持ち寄ると、価値観の違いがより鮮明になります。そこで、価値観が異なる方とどのように対話すべきかを考える必要性を感じます。「沖縄の基地問題を『NIMBY(Not In My Back Yard、公共のために必要な事業であることは理解しているが、自分の住んでいる地域で行われることには反対)』という姿勢ではなく『ジブンゴト(自分事)』ととして考えてほしい」という沖縄の方からのメッセージをもとに、生徒たちが平和や対話の重要性について考える絶好の機会となりました。
 次に、JOCAの方々には沖縄発のSDGsの取り組みについて講義・グループワーク・個人ワークを組み合わせたプログラムを実施して頂きました。亜熱帯・島嶼性・独自の歴史文化などの特徴を持つ沖縄が抱える課題をどのように克服しようとしているのか、また、沖縄での取り組みがベトナム・カンボジア・サモアなど世界における国際協力でどのように生かされているのかを伺うことができました。現地の職員の方がファシリテーターとしてクラスごとにリモートでつながる一方で、本校の教室では写真や模造紙を使いながら少人数で話し合うハイブリッド型で実施し、理解を深めました。また、ファシリテーターの方々が実際に海外協力活動で体験した持続可能な取り組みについて語って頂くなど、現地の息遣いが伝わってくるようなお話ばかりでした。
 今までSDGsについて文化祭や授業、学年プログラムの中でさまざまな形で学習してきた高校2年生ですが、どこか「知識」として捉えていた部分もあるかと思います。しかし今回のプログラムを通して“実際の現場での行動が、どのようにSDGs達成に結びついているか”を体感することができました。


2020年度・高校1年生(現高校2年生)

 2020年度はCOVID-19の影響で長く休校措置がとられましたが、その間もさまざまな形で、オンライン授業や学年の活動が行われました。学年全体のガイダンスとして、5月に「SDGs導入ガイダンス」を行い、SDGsの成り立ちや取り組む心構え、これまでの国際目標とSDGsとの違いや地球市民の一人としての意識を持つことの大切さなどを、学年の生徒全員が考える機会を設けました。SDGsについては、昨年度の文化祭企画立案の際に知った人がほとんどだったので、まず、「知る」ことから始め、次に「自分ごとにする」段階へとステップアップしていきます。
 動画視聴後には、クラスごとに「今の自分たちに、具体的に何ができるか?」を考え、web上で各自の意見を募りました。さらにその意見を3分間のプレゼンテーションにまとめ登校再開後の授業で発表しているクラスや、休校期間中にマスク作りやエコクッキングなどに取り組んだクラスもありました。以下はあるクラスで、学んだことや考えたことをまとめて提出してもらった様子です。


2019年度・中学1年生(現中学3年生)

 5月のオリエンテーション旅行の前に、SDGsとは何かについて学び、「私たちのSDGs」というテーマで、各クラスで一人一人、今実際に取り組んでいることや、取り組んでみたいことについて話し合いってまとめました。オリエンテーション旅行では、「私たちのSDGs」をさらに自分たちの生活の中に落とし込むため、SDGs目標を軸としたクラス目標を話し合い、決定しました。SDGs目標は決して大きな“お題目”ではなく、私たちの日常の生活や生き方、考え方に根差していることを感じ、身近なところからSDGsを考えられるようになることを目指しました。
 中学2年次の環境学習などの行事だけでなく、学校生活や家庭での生活全体の中でSDGsを意識して過ごしていきます。


2019年度・高校1年生(現高校3年生)

 2019年度3学期には、昨年度に引き続き「学びの軸」ポスターセッションを行いました。GLCクラス(2クラス)の生徒たちが、自分たちが解決したい社会問題を決め、それを学びの軸とし、テーマについて知識を深め、それに対する対策を考えて、プレゼンテーションする企画です。社会問題を選ぶにあたってSDGsを参考にし、ポスターセッション当日は各グループ、4~5人がプレゼンテーション時間4分、質疑応答時間4分で発表を行いました。2年目となる今回は、アドクラス(5クラス)の全員が参加し、同級生の発表に耳を傾け、気になったことを質問し合いました。先生方や高校3年生の先輩方、保護者の方も聴講していただき、SDGsへの知識や関心を深めるきっかけとなりました。

<2年目>2019年度・高校1年生(現高校3年生)の様子↓


<1年目>2018年度・高校1年生(既卒生)の様子↓


2019度・高校1年生(現高校3年生)

 高校に入学してすぐにコース関係なく、全クラスでSDGsに関するワークショップを行いました。内容は、SDGsのカード「2030SDGs」を使って行うゲーム型のもので、各グループに配られたカードに書かれている問題を解決するためにどれだけの資源(お金)・環境・時間が必要になるのかを考え、グループで話し合って解決する、というものです。
 SDGsゲームの後、各クラス4~5人のグループで私たちが解決すべき課題を考えてオリジナルのカードを作るというワークショップも行いました。世界に一つだけのカードを作ってクラス内にてプレゼンテーションを行ったことでSDGsの知識や関心を深めるとともに、初めて同じクラスになった子と話すきっかけになったりするなどチームワークを深めていることにもつながりました。このSDGsゲーム・ワークショップを通して、知ったり考えたりしたことを日々の授業や生活、そして高校2年次に行なわれるGlobal Study Tour(修学旅行)へと繋げます。
※Global Study Tourは中止となりました。


2019年度・高校2年生(既卒生)

 高校1年次よりSDGsとそれに関連するトピックをテーマに据えた「ディスカッション」や「ポスターセッション」を行うことを通して、世界中のさまざまな現状を知り、どのようなことを課題ととらえ、自分はそれに対して何ができるのかを考え続けてきました。高校2年次では、それを“自分ごと”として具体的な行動に移すために、『自分たちでできる「小さな一歩」を探す』というテーマでGlobal Issue Studies IIの授業を展開し、2019年度のGlobal Arts Festivalでは6つのグループそれぞれの提案を発表しました。
 Global Arts Festivalでの展示を経て、2学期後半には各グループが扱った内容を全員で共有し、話し合いを重ね、現在日本が抱える課題や未来に向けての解決策などについてブレインストーミングをし、2019年12月に行われた「全国高校生フォーラム」に出場するためのポスターセッションテーマを選定していきました。
 設定したテーマ、フォーラム冊子への掲載内容、実際に使用したポスターをご覧ください。


フォーラム冊子掲載の各校発表内容 紹介文

タイトル:私たちの第一歩 ―移民と共生する日本へ―

日本には様々なバックグラウンドを持つ人々が暮らしている。特に「移民」と呼ばれる人々を知ることは共生社会を目指していく中で、社会の多様性を促すだろう。住みやすい社会を実現する第一歩として、私たちは彼らの声に耳を傾けた。その中で私たちは子どもへの対応について多くの解決すべき課題を見つけた。私たちはこれらの現状を踏まえ、実行すべきことを提案する。

ポスターセッションで使用した実際のポスター


タイ・チェンマイスタディツアー(2015年度より5年間実施、2020~2021年度は中止)

 タイ・チェンマイにある公立高校、サンパトーン・ウィタヤコムスクールとは2015年から交流を続けてきています。2019年度のチェンマイスタディツアーにおいても、SDGsについてお互いの国が抱えている課題を共有して身体表現をするというワークショップを、現地の演劇集団であるGabfai(ガッファイ)とチェンマイYMCAの協力を得て実施することができました。サンパトーン生は日本語コースの高校生、大妻中野生は少しタイ語を勉強した中高生なので、コミュニケーションで重要なのはお互いの第二言語としての「英語」とボディランゲージ。SDGsが国境を超えて世界共通のゴールであるということを実感することができました。