はじめに

学校長ごあいさつ

 昨年から続いている新型コロナウイルス感染拡大の影響は、日常の生活、学校教育、医療、経済、雇用、観光、スポーツ、芸能、国際交流などに及び、地球規模の、将来にわたって人類の記憶に刻まれるほどの甚大なものです。 こういった状況下で、我々の乗る「地球号」はどこに向かえばよいのでしょうか。
 昨年度は、コロナ禍の状況下にもかかわらず生徒の皆さんの努力により、さまざまな工夫を凝らすことで、歩みを止めることなく、新しい発表形式の「オンライン文化祭」を実施することができました。 今年度はそうした体験の上に、さらに進化した形での発表ができることについて、大変うれしく、生徒の皆さんを誇りに思っています。
 本日まで中心になって準備していただいた皆様、そして支えてくださった皆様に感謝申し上げます。

 今回のテーマ「雲外蒼天」について、まず日光山輪王寺の今井執事長のお話を紹介いたします。

 『雲外蒼天を仏教の「空」の捉え方で解釈すれば「暗雲も心で観ずればすなわち晴天に転ず」とでもなるでしょうか。 人生は、天気のように、自分の力ではどうにもならないことだらけです。 私たちが直面している感染症拡大は、まさしくそれそのものです。 今も感染の恐怖や不自由に耐えながら、世界中の一人一人が懸命に試行錯誤の努力を重ねています。 どんな鬱陶しい雨にも必ず止む時が来て、厚い雲間から眩しい陽光が差し込んで来るように、私たちの善行も、いつしか天に通じ、「蒼天」が広がる日が必ずや訪れるに違いないのです。 それを信じて、皆ともに「今」を大切に生きて行くことを希ってやみません。』

 本校ではここ数年SDGsの理念を基とした秋桜祭“Global Arts Festival”を実施しています。
 若いからこそ考えられること、行動できることがあり、どんな状況下であっても、より前向きに考え、「一歩前に踏み出してみること」が、皆さんの「雲外蒼天」に通ずることだと思います。
 長期間にわたる感染拡大防止のための生活が習慣化しつつも、人類は人類のために前進することが必要です。 同時に、温暖化などによる災害も年々増加していることを多くの人々が感じています。 まさに今回のテーマは、そういったことを様々な観点からみんなで考え、行動する機会になれるものと考えます。
 今年度の秋桜祭“Global Arts Festival” 「雲外蒼天」において、生徒の皆さん一人一人が「今ある社会」や「変化していく社会」を見つめ、 自分のなすべきことを考え、行動し、将来の自分の生き方や自然と共存していける社会の在り方を、仲間とともに、そして参加してくださる皆様とともに構想していける場になることを願っています。


大妻中野中学校・高等学校
校長  野﨑 裕二