妻中便り

心は世界のKitchenへ(KIRINグローバルセミナー)

「ベトナムには、無糖のお茶って…なかったんですよ。」

何気なく語られたひと言に、妻中生たちの興味がグッと引きつけられた感触。

育ち盛りの女の子ですから、食べ物飲み物には思わず反応してしまいますね。

ちょうど妻中生たちのお父さん世代にあたるご年代でしょうか。

キリンホールディングス株式会社、グローバル人事室の森澤さんが語るベトナムは、さすが

飲料メーカー!という切り口で「アジアの甘いお茶」という不思議なイメージを駆り立てます。

「ぼくが小さい頃には、日本でも麦茶にお砂糖を入れたりしていたんですけどね。今の日本で

お茶にお砂糖って、ちょっと変な感じがしますよね?」

 

キリンホールディングスがベトナムの企業を買収し、海外展開をいっそう加速させようとした

数年前。現地企業に入り込む難しさを思い知らされたのは、味覚文化が違う!なんて文字通り

甘い部分ではなかったそうです。

学校で「道徳」を学ばない教育事情。何がダメなことで、何がいいことか、の価値観を揃える

ことからのスタート。ウソはいけない。他人を信用する。もちろん、自分も信用してもらう。会社の

備品は私物ではない。日本では当たり前のことが当たり前でない、それは決して現地の文化が

劣っているのではなく、ただただ「違う」のだ、と認識する。

「ダメ」なのではない。「今はまだ」できない・わからないのだ、と考える。

 

この言葉に大きく反応したのは、高校生の背中です。

委員会活動や部活動で後輩たちを指導する立場として、感じるものがあったのでしょう。

何年も、難しい現場で、多種多様な人々と向き合っていらっしゃった人事担当の方だからこそ

語れる、実感のこもった言葉には説得力があります。

 

「自分は何者か」を知る手がかりとしてチャレンジしたキャリア指向性のワークシート結果には、

中学生高校生ともお互いの結果に興味津々!同じ学校に通う、同じ世代でも、自分と他人とは

考え方・感じ方が違うのだ、という事実は、目の当たりにするからこそ感慨深いもの。

国が、文化が、経済状況がかわれば、みんな違って当たり前。

だからこそ、相手を思いやること、共感すること、物事の本質をつかむこと、が必要なのです。

 

4日間にわたる期末試験が終わったばかりの妻中生たち。

それでも、手にしたメモ用紙には森澤さんの言葉がところせましと書き留められています。

今、妻中生たちが自動販売機やお店のレジで手にする「世界のKitchenから」。

数年後、数十年後には、そのKitchenに立つ自分がいるのかもしれない…。

机の上の四角い紙に向いていた気持ちが、一気に解放感あふれる世界へ、未来へと広がりました。

一覧へ戻る