妻中便り

高校2年生 歴史文化研究旅行 その5

旅行最終日。昨夜遅くから降り始めた雨は今朝になっても止まず、
午前中は降り続くとの予報。
最後の夜を終え、疲労の色濃い生徒たちの表情は、
今日のこの天気と同調しているかのようです。
 
幸いにも出発の直前に雨は降り止み、
午前中の行程は集合写真撮影も含めて全て予定通りに行うことができました。
 
まずは二条城へ。この時点ではまだパラパラと雨が降っていました。
動きにくさをさておけば、
雨の情景はそれはそれで風情があり良いものです。
 
 
基本的にこの日の生徒はバスに乗れば必ずと言って良いほどウトウトしてしまっていました。
フリータイムにガヤガヤしているうちは良いけれど、
ガイドさんの話が始まり、それを静かに聴いていると気付かぬ内に夢の世界、
そんなパターンがバスに乗車するたびに繰り返されました。
 
 
二条城の後、三十三間堂へ。
眠ってしまっていた生徒も、眠そうな顔で堂内を見学した後はサッパリするようで、
外に出てきて広々とした庭園を楽しそうに散策したり、思い思いに過ごしていました。
 
 
 
 
その後、昼食は大徳寺泉仙にて精進料理です。
普段はなかなか見慣れない食材、調理法に戸惑いつつも、
偏食気味の教員を冷やかしたりしながら、
生徒たちはこの旅行最後の食事を楽しみました。
 
 
その後、一行は京都駅へ。
いよいよ今回の旅行最後の行程、「帰京の時」です。
旧都から新都へ、空間も時間も飛び越えて、
我々は自分たちが所属する日常の舞台へと帰ります。
楽しかった日々はこれで終わり、明日からはいつもの日々が帰ってきます。
ただ今回の体験を経てその日常が以前とは一風変わったものに感じられたなら、
今回の旅行は大きな意味があったと言えるでしょう。
 
 
乗車時間わずか1分という難関を無事クリアし、
我々は全員無事に15:26東京行き新幹線に乗り込むことができました。
現在も東京に向かっているところです。
 
最後に。
一般的な真理として理解している方もいらっしゃることでしょうが、
他人を知るということは即ち自分を知るということです。
同様に、海外に行ったことがある人、
外国人と親しくしたことのある人はよくわかっていることでしょう。
外国のことを学ぶ、国際交流をするのに当たって、
自国についての知識は前提であり、必要条件です。
自国のことも理解せずに外国のことなんて理解できません。
今回の旅の中で、奈良・京都の観光地を回っていて、
外国人観光客の多さにはいつも驚かされました。
そのことが物語っているのは、当然ながら、
外国人の方々のこの場所に対する関心の高さです。
そのような関心を集める場所であるこの古都について、
日本人である私たちが見識を深めること。
それは国際化が進む現代において、重要だというよりむしろ必要なことです。
とりわけグローバル教育の理念の元ではなおのこと。
 
これまで生徒たちから、あるいは本校説明会に参加する保護者の方々から、
「どうしてこの時代に、高校生で、修学旅行が京都なのか」
と問われることがたびたびありました。
それに対して、この旅行を終えた今、確信を持って答えることができます。
「今だからこそ」、この奈良・京都への歴史文化研究旅行には大きな意味と意義がある、と。
 
そのことに生徒が気付くのはもう少し先のことになるかもしれませんが、
いずれにせよ今回の旅行で見たもの、得た知識、体験したこと、感じたこと、
それら全てが願わくば余すところなく生徒たちの血肉となり、
毎日の生活や将来を少しでもより良い豊かなものにしてくれるなら、
それ以上我々は望むべくもありません。
 
そうなってくれることを心から祈りつつ、
今回の旅行報告の締めくくりとさせていただきたいと思います。
これまでお読みくださった皆様、ありがとうございました。
 
The end
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