妻中便り

「守りたい」を選ぶこと(安田菜津紀さん講演)

「他の学年にも聴かせてあげたいです!」

アリーナで行った講演の後で、生徒たちが涙を拭いながら言ったあの日から、数年が

過ぎていました。東日本大震災の爪痕が色濃く残っていた数年前の生徒たちにとって、

安田さんの写真と被災地での経験談はあまりにも衝撃的だったのでしょう。

そこから年月を経て、ますますフォトグラファーとしての活動が充実したものになって

いらっしゃる安田さんのお話には、いちだんと味わいが増したように思えます。

試験明け、ここから進路について考えていく高校生にとって、大きな刺激になったことは

疑いようもありません。

写真によって誰かの人生を動かすことなんて、出来ないかもしれない。

けれど、心が関わらない「無関心」から、関わろうとする「関心」まで、人の心を引き寄せる

ことなら、たぶん出来る。安田さんの活動は、そんな信念に基づいています。

守るもの、守りたいものが多ければ多いほど、人は強くなれる。守りたいもののために、

何か自分に出来る役割を果たすこと、その道を選んで、それぞれが進んでいくこと。

ひとつひとつは小さな行動かもしれない。けれど、それがもし、少しずつ集まるなら…。

「安田さんのラジオ、毎週聴いています!」聴いている高校生から、こんな声があがり、

会場が思わずどよめきました。今回の講演を前に、図書室に出現した安田さんの

特設コーナーでも、写真集やエッセイを手にとってジッと読み込んでいる生徒の姿を

見うけます。

「無関心を関心に」「関わる道を選ぶ」安田さんのメッセージ、きっと心に響いたことでしょう。

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