妻中便り

高2歴史研究旅行見聞録④

まぶしい太陽の下、自転車ツアーを堪能したグループのお腹はもちろんペコペコ。
お昼のカレーブッフェにはおかわりを求めて長蛇の列が…。
午後は博物館で古代遺跡とふれあうチームと昔ながらの街並みが保存される区域で
タイムトリップにひたるチームとに分かれます。

南北朝時代からの街並みを地域ぐるみで保存している今井町。
もとから建っていた家屋の建材をキッチリ生かして古くなった家々を修復す技術には
舌を巻きます。
人口が減少し、「空き戸」が増え始めている今、家屋の傷み対策には自治体も知恵を
しぼらねばなりません。
託児施設や集会所など、人と人とがより暮らしやすく、つながりやすくするアイデア、
もしかすると首都圏に住む私たちこそ、向き合っていくべき課題なのかもしれません。

打って変わって博物館では、後世の人々が「ある!」ということに気づき、地中から
掘り起こし、もとの姿を想像し、ゆっくりじっくり復元していく過程を体験します。
一見するとただの小高い丘が点在するだけの林。
でも、向こう側に広がる眺望を目にすれば、古代の人々が亡くなった相手を思い、
死後も奈良の美しい景色を愛でられるように気持ちを込めた墓所だということが分かります。

発掘された土器の復元体験では、本物の破片をパズルのように向きを変え柄を合わせ
ながら、偶然の合致を目指して四苦八苦。
「コレ、もっとやりたい!」「あ!ハマった!」
得意げな歓声があがると、破片を選別する手に焦燥感がにじみ出ます。
「私たちなんて、一日中やってもひとつも合わない…なんて日もあるのよ」
サポートしてくださるスタッフのみなさんが優しく声をかけてくださって、実際の
お仕事が忍耐あってのものだと痛感するひとコマも。

先人たちの足跡。なぜ保存しようと苦心するのか。なぜ残すべきなのか。
「残す」行為に触れたからこそ、改めてその行為の理由に目を向けたい。
答えはきっとひとつではないはず。
もしかしたら、妻中生なりの「なぜ」に対する回答が見つかったかもしれませんね。

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