妻中便り

Artsでも、「らしくあれ」(ミヤザキケンスケ氏講演)

「これは、去年、みなさんがつくってくれた“ツナギ”ですね。」

アリーナのプロジェクターに映し出された外国の風景。

満面の笑顔で踊るケニアの人が着ている“ツナギ”は、確かに去年、妻中生の手で

色とりどりにデコレーションされた、「世界にひとつだけの“ツナギ”」です。

 

国境を越えて壁画やライブペイントを手がける、アーティストのミヤザキケンスケさん。

昨年、フロンティアプロジェクト活動として「世界にひとつだけの“ツナギ”」を作成したご縁から、

今日の講演会が実現しました。

 

荒れ果てた場所の一角に、壁画というアートが加わると、いつしかその場所にはゴミが

放置されなくなり、清掃されるようになり、人が集まる憩いの場になる不思議。

色あざやかなアートが、貧困にあえぐ人々に笑顔を呼び込む喜び。

理論や数式、言葉では説明できないところから人の心を揺さぶることができるから、

Artsは万国共通のコミュニケーションツールになるのでしょう。

色で、かたちで、音で、リズムで…Artsは人の心にあたたかな光を呼び込みます。

 

「なぜ、壁画を手がけようと考えたのですか?」

講演後のインタビューで妻中生から発せられた質問に、ミヤザキさんはこう応えました。

「最初は、自分が好きなものを好きなように描けばいいのだと思っていました。でも、

壁画として公共の場にのこすとき、それは、そこに暮らす人たちのものになる。だから、

その場所で、ずっと大切にしてもらえるものを創らなければいけません。自分の仕事が

公共の場にのこる、というところに、大きなやりがいを感じます。」

 

自分ひとりが、いい!と思うから創るのではない。

その場所に、そこの人々に、その社会に寄り添ったArtsを生み出す。

心に思い浮かんだのは、学祖大妻コタカ先生の「らしくあれ」という言葉でした。

場所によって、立場によって、自らの個性を活かしながら、もっともふさわしい

行動をとる…「らしくあれ」は広い世界で自分がどうあるべきか、を示しています。

 

「らしく」あるArts。

今、手帳の片隅やプリントの裏側にちょこんと描かれている思い思いのイラスト。

廊下や教室で、ふと口ずさむ、合唱コンで歌ったメロディー。

そこから、大妻中野「らしい」Artsがきっと、生まれてきます。

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